かっこいいBGMより、「本当に水が切れるか」を見せる

製造業の動画を格好よくしようとして、いちばん見せるべき場面を外していないでしょうか。

ある海外製ノズルの紹介動画には、英語のテロップと格好いいBGMがありました。風の流れや製品の特徴も説明されていました。

ところが、一番見たい場面がありませんでした。「実際に吹いたら、どれだけ水が切れるのか」です。

演出より先に、判断したい事実を決める

水切り性能が製品の核心なら、水が飛ぶ場面を見せる。稼働音が導入判断に関わる機械なら、音も残す。切断装置なら、切断面を同じ条件で比べる。製品によって、お客様が確かめたい事実は違います。

格好よさを足すほど、お客様目線から離れることがある。これは動画だけの話ではありません。都合の良い場面だけを切り取る。スペックを大きく出し、条件を小さく隠す。どれも、判断の邪魔になります。

きれいな動画より、判断できる動画

かっこいいBGMより、「本当に水が切れるか」を見せる
  • 実際の稼働音を、無音加工せず聞かせる
  • 導入前と導入後を、同じ条件で並べる
  • 切断面や水滴を、寄りの映像で見せる
  • テストした材質・形状・速度を明記する
  • うまくいくワークだけでなく、難しい条件も伝える

動画の目的は、再生数を集めることではありません。「うちでも使えるか」という最後の壁を越えることです。

一本に全部を詰め込まない

食品工場で見たい場面と、工作機械の現場で見たい場面は違います。複雑形状の水切りを見たい人に、会社沿革を三分見てもらう必要はありません。

商品が一つでも、お客様の困りごとは一つではありません。用途別に短い動画を分け、見たい場面へすぐ到達できるようにします。

動画を撮る前の三つの質問

  • この動画を、誰が社内の誰へ見せるのか
  • 導入前に一番疑われている性能は何か
  • 映像と音でなければ証明できないことは何か

答えが「会社の格好よさ」だけなら、もう一度お客様へ聞いてください。営業が毎回スマートフォンで見せている場面があれば、そこが動画の主役です。

お客様目線とは、演出を全部なくすことではありません。相手の判断を助ける情報を先に守ることです。BGMを足す前に、消してはいけない音を決めてください。