1997年、一人でガンプラを作っていた私が、製造業の言葉を仕事にした理由

1997年、一人でガンプラを作っていた私が、製造業の言葉を仕事にした理由

1997年。小学一年生の俺は、休み時間に一人でガンプラを作っていました。

周りでは、ポケモンやたまごっちの話が盛り上がっていました。私はガンダムが好きでした。でも、何が好きなのか、なぜ心が動くのかをうまく言葉にできなかった。好きなものはあるのに、伝える言葉がありませんでした。

子どもの頃に見た物語の中で、敵味方を越えて思いが伝わり、人が同じ方向へ動く場面があります。伝わった瞬間に、世界が変わる。私は、その感覚をずっと覚えていました。

残念ながら、私たちは相手の頭の中を読めない

良い技術なら分かってもらえる。長く続けていれば、いつか見つけてもらえる。誠実に作っていれば、価値は伝わる。そう信じたくなります。

でも、相手は御社の工場で働いていません。図面を見て危ない箇所が分かる理由も、機械の音から異常を感じる理由も、何十年かけて身につけた勘も知りません。

だから、言葉が必要です。

私は、日本のものづくりが好きです

温泉も、神社も、アニメも好きです。そして、日本のものづくりが好きです。0.01mmを守るために工程を変える人。納期に間に合わせるため、黙って段取りを組み直す人。図面の指示以上に、使う人の安全を考える人。

そういう仕事が、ホームページでは「高品質・短納期・柔軟対応」の一行になっている。私は、それが悔しい。技術がないのではありません。言葉が、技術に追いついていないのです。

お客様目線は、好きなものを伝えるための方法でもある

子どもの頃の私は、好きな気持ちはあっても、それを相手が受け取れる言葉にできませんでした。製造業のページでも、似たことが起きます。設備、精度、歴史を並べれば、価値が伝わると思ってしまう。

お客様目線とは、自分の思いを捨てることではありません。相手が何に困り、どんな未来を望んでいるかを知り、その人が受け取れる形にして思いを渡すことです。

技術をやさしく薄めるのではない。未来を先に示し、技術を確かな根拠として置く。そうすれば、専門家にも、購買にも、経営者にも、同じ価値を別の入口から届けられます。

伝わった瞬間に、会社の世界も変わる

今まで相談がなかった業界から連絡が来る。値段だけでなく、技術の理由を聞いてもらえる。若い人が「この仕事をやってみたい」と言う。製品そのものを変えなくても、言葉が届くと関係が変わります。

もちろん、文章だけですべてが解決するわけではありません。品質も納期も、現場の力があってこそです。ただ、その力が必要な人へ届かなければ、比較される前に終わってしまいます。

一人だけ、顔を思い浮かべる

次の記事を書く前に、一番良かったお客様を一人だけ思い浮かべてください。何に困っていましたか。御社のどんな判断が喜ばれましたか。導入後、その人の仕事はどう変わりましたか。

全員へ伝えようとしなくていい。一人へ届くほど具体的に書けば、似た悩みを持つ人にも届きます。

私は今も、伝わった瞬間に世界が変わると信じています。だから、製造業の技術を、お客様の未来へ届く言葉にする仕事をしています。